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3月24日にアップした、腸内フローラの記事は、たいへん反響を呼び、追跡記事のアップ・リクエストが多数におよびました
前回の記事は、こちらから →「抗生物質の発見」、「ワクチンの開発」にも匹敵する「腸内フローラの解明」
私たちの腸の中には、常在菌として、およそ1000種類、総数で100兆の細菌が住み着いており、これらが、独自の微生物生態系を構成していることは、前回お知らせしました
2003年に解読が終了したヒトゲノム解析、その同じシークエンサーで、腸内細菌叢の遺伝子を調べるのがメタゲノム解析です
遺伝子解析機器の飛躍的な進歩
2008年には、従来型のシークエンサーの数千倍から数万倍の処理能力を持つ、次世代シークエンサーが登場し、腸内フローラの研究は、国際的にも爆発的に進行しているのです
また、特定の病気や肥満、脳の病気などを引き起こす、腸内フローラの構成も、分かるようになってきました
腸内細菌叢のパターンを、エンテロタイプと言います
エンテロタイプには、
1. ルミノコッカス・エンテロタイプ
2. バクテロイデス・エンテロタイプ
3. プレボテラ・エンテロタイプ
の3種類に分類されることが、分かってきました
ルミノコッカス・エンテロタイプは、日本、スウェーデン、バクテロイデス・エンテロタイプは、アメリカ、中国、デンマーク、プレボテラ・エンテロタイプは、中南米に多いことが分っています
これらは、性別や人種に関係なく、それぞれの国や地域の日々の食事の内容が、関与することも分ってきました
マクロビオティックの身土不二ですね
エンテロタイプ別に、かかりやすい病気があり、それらの解析も進んでいます
将来的に、食生活を変えることにより、病気の予防になるかもしれないという、期待が高まってきました
腸内フローラには、善玉菌と悪玉菌があることは、前回、説明しました
食品添加物の摂取(特にアスコルビン酸などの保存料)、ストレス、生活習慣の悪化、加齢などにより、腸内環境は悪化していきます
これらを改善するには、身土不二に則った食事をするのはもちろんですが、発酵食品などに含まれる善玉菌で補強しましょう
今回は、菌別にリストアップしてみました
乳酸菌(ヨーグルト・チーズ・キムチ・漬物)
整腸作用、便秘の解消
納豆菌(納豆)
納豆キナーゼにより、血栓を溶かし、脳の血行を良くする、骨の強化
麹菌(味噌・醤油・塩麴・甘酒)
食欲増進、消化促進
酢酸菌(酢)
疲労回復、老廃物を排出するデトックス効果
酵母菌(酒類)
副交感神経を優位にし、ストレス解消
菌類(キノコ)
アンチエンジング、骨の強化
その中でもヨーグルトは、乳酸菌が豊富に含まれており、整腸作用、便秘の解消に効果があります
最近さまざまな種類が発売され、スーパーやコンビニのヨーグルトの棚は、豊富な種類が陳列されています
この中から、自分に合ったものを選ぶのが大切です
これには、試食してみるのが一番手っ取り早い方法です
一度だけ食べて、決めるのは早計です
同じものを1週間食べ続けて、下痢したり、調子が悪かったりする時は、合わないと判断しても良いでしょう
2から3週間食べ続けて、食べやすく、体調が安定するようであれば、それが自分に最適なヨーグルトです
その他の発酵食品も、自分に合ったものを選ぶのが大切です
基準にするのは、生まれて育った地域のものです
その人の腸内フローラは、その地域のエンテロタイプになっているのです
食品や生活習慣の選択は、健康の基本です
腸の繊毛は1日、胃粘膜は3日、皮膚は1カ月、血液は3カ月、筋肉は半年、脳・肝臓・腎臓は1年、骨は3年で完全に入れ替わります
食生活や生活習慣を変えて、健康志向を目指しても、腸や胃はすぐに効果が分りますが、その他は、長い期間を経ないと、効果が表れないのです
一つの食品、生活習慣を試して、本当にこれは自分の身体に合っていて、 有効だと分かるには、血液が全て入れ替わる、3カ月の期間が必要です
発病してからでは、のんびりと試していられません
お尻に火が付いた状態では、じっくりと選んではいられないのです
まだ何でもないときや、東洋医学で言う、未病 [1] の内に、しっかりとした「健康力をつける、食品と生活習慣」を確立することが肝心です
月並みですが、「何事も、早め早め」が、大切です
脚注:
[1] 未病:「まだ病気とは言えないが、なんとなく、体調がすぐれない」という状態