冷麦(ひやむぎ)と素麺(そうめん) 、微妙に太さは違うけど、分ける必要があるの
この夏、ついに、麺類最大の疑問を、解き明かします

1) 太さと長さが違います
2) 冷麦には、色付きの麺が入っている
まず、広辞苑を調べてみましょう
次のように書いてあります
「うどん」:〔饂飩〕
小麦粉に少量の塩を加え、水でこねて薄くのばし、細く切ったもの
ゆでて汁にひたして食べる。
「ひやむぎ」:〔冷麦〕
細打ちにしたうどんを、ゆでて冷水でひやし、汁をつけて食べるもの。
「そうめん」:〔索麺・素麺〕
小麦粉に食塩水を加えてこね、これに植物油を塗って細く引き伸ばし、日光にさらして乾かした食品。ゆで、または煮込んで食す。
この説明からすると、どうも、製法が違うようですね
さらに詳しく、歴史的な違いと、名前の由来を、調べてみました
素麺は、奈良時代に中国から、「索餅(そうぴん)」という、麺に打ち粉をして手延べする製法が伝わり、日本では「麦縄(むぎなわ)」と呼ばれていました
その後、鎌倉から室町時代に、中国から、麺の表面に油を塗って細かく長く手延べする新技術が伝わり、「索麺(そうめん)」が誕生、その後「素麺」と言う漢字を当てはめました
また、煉った小麦粉を麺棒で伸ばし、包丁で切る製法も、鎌倉から室町時代に伝わり、日本では「切り麦」と呼ばれていました
この切り麦は、後に、その太さによって、「うどん」と「冷麦」に、分けられたのです
伸ばすのと切るの違いで、素麺と、うどん・冷麦の違いが出てくるようです
また、太さでも、違いがあります
太さによる分類 ( 乾麺 ) | ||
手延製麺 | 機械製麺 | |
素麺 | 長径1.7mm未満 | 長径1.3mm未満 |
冷麦 | 長径1.7mm未満 | 長径1.3mm以上、 1.7mm未満 |
うどん | 長径1.7mm以上 | 長径1.7mm以上 |
きしめん | 幅4.5mm以上、 厚さ2.0mm未満 | 幅4.5mm以上、 厚さ2.0mm未満 |
素麺の手延製麺が、機械製麺の1.3mm未満に対して、1.7mm未満というのは、200年の歴史を持つ、手延の「半田素麺」が、1.7mm前後のため、これに敬意を表して、変更されたものです [1]
結論: 冷麦と素麺の違いは、
1. 製法・・・もともと、冷麦は切って、素麺は伸ばして作ったものです
2. 太さ
3. 色付きが混ざっている・・・素麺と区別するために、始められたものですが、現在では厳密なものではありません
というところでしょうか
ただし現在では、製法は機械製麺では同じ、色付きも、混ぜなかったり、素麺にも混ぜたりで、違いは無くなり、ただ太さだけが違うというのが、正解のようです
地域による、生産量の相違
全国的には、素麺の方が冷麦より2倍強多くなっています
しかし、都道府県別に見ると、西のほうは素麺が多く、関東と山形では、冷麦の方が多くなっています
栃木・群馬・埼玉・千葉・東京の蕎麦屋では、夏に、素麺ではなく、冷麦を出す店が多くみられます
西の香川・兵庫、中部の愛知は、素麺にはかないませんが、それでも、多量に生産されています
これは、関東圏に出荷するためのものです
山形では、麦切り [2] と呼ばれる麺があり、製法が切り麦で、統計的に冷麦の範疇に入れられるため、統計の生産量が多くなっているのです
アロアロヨシさんの子供の頃、愛知県でしたが、夏は冷麦でした
色付きが混ざっていたので、兄弟で取り合ったのを、覚えています
アロアロヨシさんは末っ子でしたので、兄たちに素早く取られてしまい、泣いていると、お袋がいつも、兄たちの猪口の中から取り上げて、私の中に入れてくれました
脚注:
[1] 半田素麺はこちらから → 「日本三大そうめん、播州・奈良・香川・熊本・徳島・長崎・佐賀・愛媛・富山・秋田・宮城、ランキングは?」
[2] 切り麦のレポートは、デイリーポータルZ 、に詳しく載っています